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会長挨拶

就任にあたって

~この子らともっと早く出会いたい~

 

全国児童家庭支援センター協議会

会長 福田 雅章

 

 先ごろの総会において会長に選任されました福田です。

 前任の橋本達昌先生が児童家庭支援センター(以下、児家セン)の未来を大きく切り開いてくださいました。その未来に向かって着実に歩んでいきたいと思います。

 私は、幼少期に養護施設(当時)で生活した経験があり、大学卒業後10年間の公立中学校教諭を経て、平成5年に自身が入所していた児童養護施設に入職しました。平成27年に施設に児家セン(ちゅうりっぷ)を併設し今日に至っています。

 永く社会的養護に携わり、関わった子どものその後に接して実感するのは、パーマネンシ―保障がいかに大切かということです。今、こども家庭福祉は二つの大きな課題を抱えています。増え続ける児童虐待への対応と家庭養育の推進です。つまり、虐待リスクのある家庭から子どもを引き離し社会的養護の下で養育すればよいのではなく、そうした家庭であっても子どもが家庭で生活できるよう保護者を支援しなければならないのです。その結果として施設には入所措置になるまでに2度3度の一時保護を経験している子ども、里親委託がそぐわない年齢に達している子ども(いわゆる高齢児)、発達障害等養育に困難が伴う子ども、里親不調に陥った子どもなどの入所が増えています。こうした子どもたちが家庭に戻っていくことは難しく、またその予後はよくはないというのが施設現場の実感です。家庭養育原則の下、家庭にとことん頑張らせるあまり、皮肉なことに、親子関係が修復不能の状況にまで陥ってしまっているという現実が見えています。つまりパーマネンシ―が脅かされているのです。

 私たちの一致した見解は、「この子らともっと早く出会いたかった」というものです。行政機関の子育て支援は、「担当の区域を隈なく」、「今、必要な支援は何か」といったいわゆる「面」で考える傾向にありますが、「子どもの育ち」の観点から、いわゆる「時間軸」で支援を考えることも必要です。子どもが胎児期から社会的自立に至るまで、地域にあって一貫して子どもに関わり、保護者とパートナーシップを組んで共に子どもを育てていこうとする組織(人)が求められています。地域にあってその保護者や子どもの必要に応じて支援を届け、危機に瀕しては社会的養護につなぎ、施設入所中は施設と共に親子の再統合を目指していく。再統合ができてもできなくとも、その家庭に関わり支え続ける人が求められています。そうして子どもたちのパーマネンシ―は保障されていくのです。そんな役割を果たし得るのは児家センをおいてほかにあるでしょうか。

 児家センの更なる発展のために尽力していきたいと思いますので、会員の皆様のご協力をお願いいたします。